メンフィス

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メンフィスは、ブルースがはじめて根づいた都市である。1900年代初頭から、ミシシッピ・デルタのミュージシャンたちはましな仕事を求めて、農場を離れ、ここに流れてきた。W.C.ハンディブッカ・ホワイト、メンフィス・スリム、メンフィス・ミニー、ビッグ・ジョー・ウイリアムズ、B.B.キングボビー・ブルー・ブランドがここに定住し、あるいはさらにここから世界に進出していった。

ブルース・ミュージシャンがまず向かったのはビール・ストリートで、彼らは町角で演奏して、チップを集めた。トップを張るブルースマンたちは近所のクラブや劇場に出演した。W.C.ハンディは1912年~1918年までビール・ストリートにあった自宅でブルース曲を書いた。この通りの劇場ではマ・レイニーベッシー・スミスのような全国的にその名を知られたスターによるブルースも聴かれた。

メンフィスのサウンドは、しかしながら、50年代、60年代に革命期を迎えた。1950年、サム・フィリップスはユニオン・アヴェニューにスタジオをオープンした。彼は、ハウリン・ウルフアイク・ターナーといったブルースマンの録音のほかに、“キング・オブ・ロックンロール”と呼ばれたエルヴィス・プレスリーの初録音も手がけた。そして50年代初頭には、B.B.キングボビー・ブルー・ブランドがそれまでのブルースを、ゴスペルやジャズと融合させ、都会的なサウンドを生み出していった。また60年代に入ると、カーラ・トーマス、ブッカー・T&ザ・MGs、オーティス・レディング、アイザック・ヘイズといったスタックス・レコードのアーティストたちが、多くのソウル・ミュージックの傑作を世界に送り出した。